岩手県議会に「岩手県のがん対策の推進に関する請願」を提出しました

2023年12月10日

2023年12月4日 岩手県議会議長 工藤 大輔 様

岩手ホスピスの会 代表 川守田 裕司

盛岡かたくりの会  会長 下川原 良子

岩手県のがん対策の推進に関する請願

(請願趣旨)

少子高齢化が加速し、労働力不足や労働者の高齢化など様々な課題が山積する中、限られた医療資源の下、岩手県の地域医療のために尽力されている関係各位に心より敬意を表する。

本県において、令和元年の死亡者の主な死因のうち、がんによる死亡者数は4,471人、総死亡者数17,826人に占める割合は25.1%となっており、4人に1人ががんで亡くなっている。

また、昭和59年以降、がんは死亡原因の第1位となっている。

一方、国全体で見ると、生涯で約2人に1人はがんにかかると推計されており、依然として、がんは県民の生命と健康にとって重要な課題となっている。

県では、平成20年3月に岩手県がん対策推進計画、平成26年に岩手県がん対策推進条例を策定した。

県は、がん患者を含めた県民が、がんを知り、がんの克服を目指すことを実現するため、県民の心と体の健康につながる生活習慣病予防、がんとの共生社会に向けた取組など、がん対策を総合的かつ計画的に推進する中、現在、次期岩手県がん対策推進計画と次期岩手県保健医療計画の策定に向け、がん診療連携医療圏の設定が議論されている。

平成28年の国のとりまとめによると、本県のがん診療連携拠点病院数(人口10万対)は、1.3施設となっており、全国の3.1施設を下回っている。

治る病気ならどこへでも行くが、治らない病気なのであれば、せめて生まれ育った地域や家族の下で最期を迎えたいとの声を多く聞く。

医師や看護師等の医療従事者の不足や地域偏在等の事情があるが、急性期から在宅まで切れ目のない地域医療の充実や、1人でも多くのがん患者が痛みから解放されて少しでもその人らしく過ごせるよう更なる緩和ケアの充実など、地域のニーズや患者の特性、患者・家族の声にもしっかり耳を傾け、県北部、県沿岸部、県中央部、県南部など広い岩手県に生きる各地域の方々の思いに寄り添った議論を進めて頂きたい。

平成28年には、がん対策推進基本法が改正され、新たに法の理念にがん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築を目指し、がん患者が、その置かれている状況に応じ、適切ながん医療のみならず、福祉的支援、教育的支援その他必要な支援を受けることができるようにするとともに、がん患者に対する国民の理解が深められ、がん患者が円滑な社会生活を営むことができる社会環境の整備が図られることが追加された。

ついては、本県のがん対策の推進に関し、下記の事項について請願する。

(請願事項)

1 がん診療連携医療圏の設定に関わらず、がん患者とその家族が可能な限り、質の高い生活を送ることができ、また、住み慣れた家庭や地域での療養や生活を選択できるよう、引き続き必要な支援を受けることができる環境整備の充実を図ること。

2 診断から治療、在宅での緩和ケア医療から看取りなど様々な場面で切れ目のない医療が提供され、がん患者がいつでも、どこに居ても、尊厳を持って安心して生活し、自分らしく生きることのできる地域共生社会の実現を図ること。

3 県北部、沿岸部のがん患者が高度専門医療を受けるためには、盛岡市方面のがん診療連携拠点病院に通院しなければならないことから、交通費補助等の負担軽減策を検討すること。