食べ物に込めた物語  9月5日盛岡タイムスに掲載されました!

2014年9月 6日

食べ物に込めた物語 がん患者のための栄養公開講座 蛇口さん(管理栄養士)講演

盛岡タイムス 2014年9月5日

がん患者やその家族のための栄養公開講座が8月31日、、盛岡市若園町の総合福祉センターで開かれた。県立胆沢病院管理栄養士の蛇口真理子さんがストレスに負けない食生活について講演。市民14人が耳を傾けた。

体調が優れないと、食も進まなくなりがち。抗がん剤などの影響で口内炎や吐き気に悩まされる人も少なくない。
「そんなときは、栄養を度外視し、量は少なくとも、おいしく食べることを重視して」とアドバイス。

さっぱりして、喉越しのいいものや、カレーなど味がはっきりした料理を上手に取り入れることを勧めた。
食べられない姿を見るのは看病する家族にとってもつらい。
準備した料理を口にしてもらえないと、患者以上に落ち込むことも。
「食べられないのは仕方がない場合もある。家族の人もつらい気持ちを、他の家族や、医療者に打ち明けると、少し気持ちが楽になる」と語りかけた。

緩和ケアチームの一員として活躍する蛇口さんは、病院食でも、できるだけ入院患者の気持ちに添った献立の提供を心掛けている。
ケースによっては、ビールや手作りクッキーを加えることも。
横になったまま食べざるを得ない患者には、料理の中身が見えやすいガラス食器を使うなど少しでも食欲をそそる工夫をする。

末期がんの75歳の男性が「おふくろの味が食べたい」とつぶやくのを耳にし、小さな味噌握りを出したことがある。
この男性には、幼い頃、お腹をすかして家に帰ると、いつも、母親が握り飯を用意して待っていてくれた思い出があった。
「年を重ね、自分の体調が厳しくなっても、生んでくれた母親への感謝の気持ちを持っていた。素晴らしい」と蛇口さん。

食べ物に織り込まれた、その人の人生の物語を大事にしたいという。
「食べ物は人の心を支える。患者さんの思いに寄り添うことで、自分自身が生き方を教わり、大きく育ててもらっている」と話した。


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