がん患者にタオル帽子を 岩手ホスピスの会 業者と共同開発

2014年5月25日

がん患者にタオル帽子を 岩手ホスピスの会 業者と共同開発

開発したタオル帽子を見詰める吉島さん

 がん患者を支援する盛岡市の市民団体「岩手ホスピスの会」は、東京のタオル製造卸「内野」と連携し、患者用のタオル帽子を共同で開発した。4月に全国の百貨店で販売を始め、売り上げの一部は同会への支援金に充てられる。

 同会は2008年、抗がん剤の副作用で脱毛に悩む患者に贈るタオル帽子作りを始めた。主流のニット帽より吸汗性に優れ、頭皮にも優しいタオル帽子は患者に好評を得た。これまでに全国の病院に発送した数は5万300個に上る。
 各地に活動を広める先導役となったが、購入や寄付でそろえる材料のタオルは慢性的に不足していた。県の助成金もことし3月で終わり、年間100万円の発送料も負担になった。同会の吉島美樹子事務局長(52)は「そろそろ潮時かな」と思ったという。
 こうした事情を知った内野が帽子の開発を決めた。開発した帽子は肌触りが良く軽いパイル地やガーゼを使用した3種類。高い吸水性や通気性を備えた。1個2300?3000円(税抜き)で売り上げの5%が同会に寄付される。全国の百貨店のほか、内野のウェブサイトで購入できる。
 同社は09年からホスピスの会に帽子やタオルを寄付していた。同社マーケティング戦略室の渡辺万由未マネジャー(43)は「寄付だけでは入手できない患者もいた。販売により必要とする患者に届けられる」と話す。
 吉島さんは「患者のことを考えればできる限り続けたかった。企業の応援でそれがかない、本当にうれしい」と話す。
 同会は手作り帽子の寄付も続けており、材料となるフェースタオルの寄付を呼び掛けている。連絡先は吉島さん080(1658)1762。


2014年05月24日土曜日  河北新報