セデーション(鎮静)について

2017年6月22日


岩手ホスピスの会主催のホスピスセミナーが819日盛岡市で開催され、岩手医科大学緩和医療学科教授・木村祐輔先生が、「セデーション(鎮静)について「終末期の苦痛緩和のために」と題して講演しました。

 

セデーションはその導入、適応に関して医師や病院によって意見が異なり、まだまだ一般的にはその実情が知られておりません。今回は、セデーションとは、セデーションのこれまでの歴史・推移、セデーションによる患者さんへのメリット、セデーションを取り巻く課題?等様々な角度からお話をしていただきました。

 

 セデーション(鎮静)とは、患者の苦痛緩和を目的として患者の意識を低下させる薬剤を投与すること。(ミタゾラム、フェノバルビタール等)

 1990から2003年にかけて行われた、WHO方式がん疼痛治療法提唱者による報告、セントクリクリストファーズホスピス(世界で初めて開設されたホスピス)の報告、淀川キリスト教病院の報告によると、ホスピスケアを受けていた患者さんの半数以上はセデーション(鎮静)が必要との結果だった。(医療用麻薬を使用するWHO方式がん疼痛治療のみでは苦痛の緩和は十分ではない)

 セデーションについては各病院、各医療者によって意見が異なり、行っていない病院はないと思われるが、その適応判断をどうしているかについて医療者の考えが異なっている可能性が高く、その結果施行率に差があると思われる。

〇終末期にセデーションを希望する方は、症状の軽いうち、もしくは病気になる前に家族やキーパーソン意志決定や問題解決の要となる人物)と話し合い意見を伝えておくことが、ご本人が終末期を迎え、かつ自身の意見を伝えられなくたった際にご家族の考えの基礎になりうるが、その時に話し合ったことが絶対ではなく、月日の経過によって考えが変わりうることも保障しなければならない。

〇苦痛が辛くなり鎮静を考慮する時はそれぞれの病院の緩和ケアチーム等に相談すること。