総会記念講演会「在宅医療の実際と、在宅医療体制整備の現状」

2020年4月18日

もりおか往診ホームケアクリニック




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           木村幸博院長 


どんな人でもいつかは死ぬ












1.ある耳下腺がんの患者さんは、在宅医療開始当初「痛みはありません」と言っていたが我慢していただけで、その後病状が進むにつれさらに激しい痛みが出現し、我慢強いため今まで訴えなかったが「本当は痛いんだよ!」とようやく本心が出た。


教訓:「痛みは本人にしかわからない。また、我慢してから使う痛み止めは効きが悪い。痛みを我慢することが美徳だと思っている人がいるが、本人から痛みの詳細を教えて貰えないと医師は痛みの程度を判断できない。意思を伝えることができない人は、眉間のしわを参考にする。」


2.健康な時、「在宅医療なんてありえない」と言っていた人が最期は在宅でケアを受けながら亡くなった。


教訓:理想と現実は違う。自宅で、そんなこと出来るはずがないと思っていた在宅医療が、在宅機器や器械類の利用で在宅ハイタクケアに十分対応できる体制で実現できた。


3.どんながんでも最期は家で過ごせる。在宅医療はこの街全体が大きな病院です。道路は病院の廊下。自宅は最高の特別個室。医師も看護師も薬剤師も理学療法士もケアマネも皆、家に来てくれます。


4.一人暮らしのお一人様でも在宅医療は可能。家族がいないのでむしろ本人の好きなように思いを医師に伝えることができる。


5. 夜中の1時頃がんの末期で看取りのため往診。あるマンションに到着。玄関で酔っぱらいのおじさんに遭遇、一緒にエレベーターに乗る羽目に。よほど怪しく見えたらしく、そのおじさんが絡んできた。「お前みたいな奴、見たことない、勝手にマンションに入られると困るんだよ!!ウィーッ!!」

急いで患者さん宅に行こうとするも部屋番号が暗くてわからない→入口の電灯くらい灯けてつけてほしかった。電話をかけて玄関を開けてもらい事なきを得た。


教訓:真夜中の往診では酔っ払いおじさんに絡まれないようにする。


6.スティーブ・ジョブス最後の言葉:

私のプライドや認証(認められること)や富は、迫る死を目の前にして何の意味もなさない。私が勝ち得た富は(私が死ぬときに天国に)一緒に持っていけるものではない。私が持っているものは愛情にあふれた思い出だけだ。


最期のひとときはできるだけ苦しまないように自分らしい生き 

方ができるよう、そんな在宅医療を提供できたたらいいなと思います。